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桜吹雪と桜の騎士と、花嫁と花婿と【Rewrite 鳳兄妹+瑚太朗】

ちはやルート後で、数年後の結婚の日に
咲夜を思ってるちはやと瑚太朗のお話です。

ちなみにちはやルート後は咲夜は帰ってこないと思ってるので
そのつもりで書いています。
んでも咲夜を思ってのお話だから鳳兄妹+こたさんのお話で大丈夫だよね?ね??

****** ▼ 追記記事 ▼ ******




桜の花びらがふわりと舞う。

そこは人がよりつかない深い深い森。
木々が空に向かって枝を伸ばし、
草がしげり、虫が飛び、蝶が舞う。

眼下に都市である風祭市を望みながら
人のいない、自然が謳歌する場所。

その場所にはもうずっと、
人が二人並んで歩けそうな、小さな小さな道がある。

アスファルトなどの人工的に作られた道とは違う
ただ歩み踏みしめた時間が守り続けた小さな道。

だからその道には、思いがある。

「うわわわ、瑚太朗っ!!ちょっと待って下さい~!
 ドレス、ひっかかっちゃってっ!!」
「あちゃー、ちょっと待ってろよ。
 事前に少し脇の枝とか切ったりして道広げといたんだけど、
 やっぱりドレスで通るには無理があったか…。」

――――その道を歩いた人が、
その道を歩み続けたいと思っただけの強い思いが。

桜の老木が風に揺れる。
周りの桜の樹が春を迎えて花びらを散らす中で
老木はただ静かに、優しく
傍にやってくる少年少女を迎えていた。

この数年、なんどもなんども、繰り返してきた日々のように。






桜吹雪と桜の騎士と、花嫁と花婿と。




「ほら咲夜。来てやったぜ。」

青空の下、花婿衣装の少年は笑う。
いつも桜の主に向けていたような
ほんの少し生意気な挑むような瞳で。

「うーーー。咲夜ごめんなさいですーーーー。
 咲夜が買ってくれたドレス、いっぱいひっかけちゃって…。
 やっぱりドレスは振袖ほどあまくなかったですね…。」

裾が少しぼろぼろになったドレス姿のまま
花嫁衣装の少女――――鳳ちはやは微笑みながらドレスの主に詫びた。
いつも自分を守ってくれた大好きな家族を
ここ数年ずっと見上げ続けた瞳で、真っ直ぐに。

「でも、ちゃんと咲夜にみせにきましたよ。
 咲夜も早とちりですね。
 私がまだ瑚太朗に出逢う前から、
 ドレス買っちゃってたりしてたんですから。」
「正直お前の部屋から、ウエディングドレス一式やら、
 振袖に至っては5枚もみつけた時はびっくりしたぜ。
 見つけた途端、ちはやの奴、全部着るまで結婚しないって言いだすしさ。
 絶対あの振袖は俺への嫌がらせだろ。あの瞬間はホントに絶望したんだからな。」
「えーー、だってあたりまえじゃないですかー。
 咲夜が買ってくれたもの、着ないなんて出来ないです。」

真面目に憤慨するちはやに瑚太朗は笑った。
ホントはそんな事はわかりすぎるほどにわかっているのだ。
彼だってそんなふうに、
亡き人を変わらず慕っているちはやの暖かさが好きなのだから。

腕に抱えていた紙袋から
朝、結婚式場でもお世話になったウエディングヴェールを取りだす。
それをそのまま彼女の頭にポンとかけた。

「でも。あいつらしいなって、思ったよ。
 振袖は何枚もあるのに、ウエディングドレスだけは一着しかなかった。
 ある意味、徹底してる。」

ヴェールを直すために優しく撫でつけながら
ぽつんと呟く瑚太朗の声は、いつのまにか真面目なものに変わっていた。
…その小さな変化に気付いて、ちはやも優しく微笑み返す。
あれからどれだけの時間、
この声の瑚太朗と語り合ったかなんて覚えていない。
そしてこの暖かさこそが、
咲夜がいなくなってからずっと、
ちはやを支え続けてくれたものだったから。

「きっと、縁起悪いって思ったんです。
 咲夜は結構、こういうの気にする所がありましたから。
 おひな様だって、日付がかわったらすぐ片付けたんです。」
「…そうだな。それにぎるもぱにも言ってた。
 咲夜は前から、自分の運命を悟ってたみたいだったって。
 だから多分、ちはやのドレスもちゃんと選びたかったんだと思う。
 …あいつ絶対、結婚式で泣くのが夢な奴っぽかったし。
 だからちゃんと、ちはやとここに来たかったんだ。」

瑚太朗はそう言いながら
手づからヴェールを整えた花嫁をゆっくりと抱きよせてキスをした。
ちはやも静かに瞳を閉じて、花婿のリードに身をゆだねる。
…先ほどの結婚式のやりなおし。
なのに、神前で誓う誓いのキスよりも、
この桜の下での誓いの方が、瑚太朗には重かった。

この桜の主がどれだけの思いで彼女を愛し守り通してきたのか
彼はその事実を、痛い位知っているのだから。

唇が離れる。
真っ直ぐみつめた腕の中の花嫁は、
自分だけを見つめていた結婚式場とは違って、
桜と彼を一緒に見える位置を向いて笑っていた。

彼女の視線の先の老木はもう花は咲かない。
だから変わりに、隣の若桜の華吹雪が新郎新婦を祝福してくれた。

「…咲夜、みてくれましたよね。」
「ああ、絶対見てくれてる。
 結局うんこ太朗君なんですねって、笑ってくれてるさ。」
「わ、懐かしいです。今思うと酷いあだ名でしたよね。」
「全くだ。お陰であいつの事思い出す時、
 まともな名前で呼ばれた記憶がなかなか思い出せないんだからな。」
「仕方ないですよ。
 咲夜は瑚太朗の反応を楽しみにしてた所ありましたから。」

…そうだったのだろうか?
それでも目の前の少女がそういうなら、そうなのかもしれない。

重ねた時間だけわかる思いがある。
重ねた拳の分だけ、彼女の兄とは語り合ってきたつもりだけれど
それでも、
彼女と彼が積み重ねた時間に勝てるなんて瑚太朗も思ってはいなかった。

それぐらい、少年にとって、少女と彼の関係は神聖だった。
だからこそ絶対に、彼は彼女の兄を超えたかったのだから。

目を閉じれば今でも
嫌味っぽく暖かく笑う儚い騎士の姿が心にうかぶ。
何年たっても、鮮やかに心によみがえってくるその姿。
その色褪せない記憶が、ただ素直に嬉しかった。

「俺さ。」
「はい?」
「…ずっと、暖かい家庭って、わからなかったんだ。」

腕の中から覗きこんでくるちはやをみながら、ぽつりとつぶやく。
それはずっと、自分の中で膿んでいた想い。

…誰も帰ってこない家で、
幼馴染の小鳥だけが、ただ一人の優しい家族だった時間。

小鳥の笑顔だけが、いつだって自分の支えで、
それでも小鳥は、本当は自分の家族ではなくて、
いつだって家に本当の家族はいない。
そんな家がずっと、居心地が悪くて仮住まいのようで辛かった。

「そんな家だったから、いい親っていうのがよくわからなくてさ。
 いつか家庭を持てたら、どんな家を目指せばいいのかずっと不安だった。」
「…瑚太朗。」

白い手袋に包まれた両手が、瑚太朗の頬を優しく包んだ。
―――――怖いんですか?と
少女の瞳は優しく、いたわるように彼を見上げていて
まっすぐにみあげてくる優しい瞳は
彼の最後の不安を、静かに洗い流してくれる気がした。

「ちはやと咲夜の家の暖かさを、覚えてる。」

出来るだけ力強く、首を振った。
そう、だからもう何も怖くはない。
心にはあの日、彼女と、彼女の兄と過ごした暖かい家がある。
その灯が心にある限り、

「だから俺が暖かい家を作れない訳がないって、今はちゃんと信じてるよ。」

―――――決して言い訳など、出来るわけがないのだ。

それは少年にとって、最後の誓いでもあったのだろう。
瑚太朗の宣誓に、ちはやは嬉しそうに笑った。

「大丈夫ですよ。瑚太朗は、お日様みたいに暖かいですから。」
「そっか、ちはやがそういってくれるなら安心だ。」
「ですですっ!!」

元気づけるように少女は笑って少年も笑う。
そうして桜の老木も、その声に反応するように、静かに揺れた気がした。

花びらが舞う。
あの日、彼らを守ったように、白い薄紅色の花びらが。
それは彼の樹の花びらではなかったけれども
それでも
あの日と同じだけの優しさを彼らの心に届けてくれた気がした。

「咲夜。………明日からは滅多にここには来ません。」

…その暖かさに背中を押されて、ちはやは告げた。

天王寺の姓を名乗る事を許された少女は、
明日までの自分に別れを告げるように。
今を歩くと。
歩く為に、毎日通わない事を、桜の老木に誓った。

「だけどいつか家族が増えたり、伝えたい幸せなことがあったら
 必ず咲夜に伝えに来ます。
 ―――例え道がどんなにふさがれて、この桜が折れてしまっても。必ず。」

長い長い遠回りを経て辿り着いた今日を
花嫁になる桜の騎士の愛した少女は、笑顔で迎える事が出来た。

――――――――笑顔に諦めの色はない。

本当はわかっていたのだ。
でも、納得できるまで、ただ待っていたかった。
咲夜がその行為を喜ばないとわかっていても
自分も彼も、あの暖かさを取り戻せるのなら取り戻したかったから。
でももうそれも終わり。
これからはちゃんと自分は咲夜が本当に望んでいた道を生きていける。
だから彼女の笑顔は、むしろ晴れ晴れとして誇らしげにすら見えた。

「ありがとう咲夜。私は今日お嫁に行きます。
 ――――咲夜が私を、ちゃんと笑える子に育ててくれたから
 瑚太朗とラブラブいちゃいちゃな生活を過ごしながら、
 楽しく幸せに生きていけてるんです。」

それは兄が最後に自分に残した言葉。

―――――――なんとなくこの言葉こそ、
       この別れには、ふさわしい気がした。

桜の老木は何も答えない。
それでもただ静かにそこにあり続けた。
彼女を見守り続けた騎士のように、優しく暖かく。

風が吹く。桜の花弁が乱舞する。
だから6月ではなく、桜の季節を選んだ。
――――――桜の花に包まれた結婚なら
最後まであの騎士は彼女の未来の幸福を約束する。
そんな気がしたから。

瑚太朗はちはやの手を取った。
そのまま桜の老木をみあげて晴れやかに笑った。

「ありがとう咲夜。絶対、ちはやを幸せにする。
 それで子供が生まれたらさ、
 きっとお前みたいなものすげえ親馬鹿になってやるんだ。」

そんな笑えない冗談をいいながら、まっすぐに暖かった家族を見上げて。


―――――――――花は咲く。そして散る。
―――――――――だけどその花の美しさは永遠に消えない。

―――――――――その花の暖かさも、永遠に消えたりはしない。

―――――――――だからありがとう。

―――――――――貴方がいたから、
         ぬくもりを今抱いて生きていけるのだから。


(FIN)




ちはやルート後のコタさんとちはやのお話です。

実はこういう自分の好きなキャラがほとんど出てこないけど
皆が自分の好きなキャラの事思ってるお話書くのが
すっごく好きだったりします。
好きキャラが仲良しきゃっきゃっしてるより
下手すると好きかもしれない。愛されてるなって感じがして(^^)

Rewriteで最初に浮かんだお話はこれで
ずっと書いてみたいな~と思いつつ
なんだかんだでお蔵入りしていました。
無事書けて良かったです(^^)。
Rewriteは鳳兄妹+コタさんの疑似家族的な関係が
滅茶苦茶好きだったりします。
…ああ、そこ、
またこの人カプが本命にならなかったとか言わない…orz(苦笑)。
一応実はカプなら瑚朱が一番好きだったりします。
…鳳兄妹+コタさんばっかり普段は騒いでますが(^^;。

何はともあれ読んで下さってありがとうございました(^^)
多分最初で最後のRewriteだと思いますが
鳳兄妹は記念に一本書きたかったので書けて満足してます。
久々に普段かかないキャラ書くの新鮮で楽しかったです。
…普段はAngelBeats!で直井中心に
疑似兄弟的な仲良しわいわい書いてますが
カプだと時々ひなユイも書いてるので
もし御縁があったら又遊びに来て下さると嬉しいです。
ぺこり。


2012.03.17 紅柳美咲



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