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矛盾思慕―――聖母断罪【Angel Beats! 9話以降分岐if物】

もしゲームならBADエンドにあたるお話です。

直井と音無と天使ちゃんのお話。
・・・このメンツで想像つくように直井が暴走した場合のお話です。

非常に暗くて悲しいお話なので
ご了承の上見て下さいませ。ぺこり。



****** ▼ 追記記事 ▼ ******







――――藤巻が、消えた。

その日、いつも穏やかに笑っていた大山が泣いた。

いつも一緒にいたのに、
もうどこにもいないんだって、
優しい顔をゆがめて、少年は下を向いて泣いた。


――――穏やかな日差しが差し込む保健室で
立華奏は、音無結弦を抱きしめた。
少年は泣いた。
――――自分の正しさを信じながら。
――――それでもやり切れない想いを抱えて。


――――そして少年は動く。
――――ありがとうの変わりの、罪科を背負う為に。










矛盾思慕―――聖母断罪












雨が、降っていた。
矢のように降り注ぐ雨が・・・。

音無結弦は懸命に校舎を走り回る。
訳のわからない焦燥にかられて・・・。
その焦燥が、気のせいである事を証明したくて・・・。



あの日を境に、
―――――――校舎から仲間たちが消えていった。


最初に消えたのは直井だった。


次に大山が、
それから関根が、入江が、ひさ子が
遊佐が、野田が、竹山が、高松が、松下が・・・
・・・一人、又一人と消えていった。

・・・そして昨日には、
天使以外は日向と音無しか残っていなかった。


消滅の瞬間を誰も知らない
なのに何故か、誰もこの世界にいない気がした。
何故か、この消滅が自然で
穏やかなものではない事だけはどこかで察していた。

―――――そして今日、日向が消えたのだ。

走った。走った。
息が切れるほどに。
肺がねじれてつぶれるほどに必死に走った。
そして最後の頼みの綱で開いた校長室の窓は
雨なのに窓が開いてガタガタ音を立てて揺れていた。

―――――誰かが自分のいない間に、ここの窓をあけたのだ。

―――――誰が?
―――――最早仲間は、皆消えてしまったというのに・・・。

慌ててかけよった窓。

いつかの野球大会の日、
ゆりが楽しそうに笑って立っていた窓の向こうに
音無は見慣れた小さな人影をみて立ちつくした。




―――――最初は、NPCかと思った。

クラスSSSとは異なる、黒い制服の小柄な少年。
彼は雨に打たれながら
校長室に向かって無感情な瞳を向けたまま立ちつくしていた。
胸にNPCにはない、・・・黒い学帽を抱えて。

―――――曇天の空の下で雨に濡れた少年は、
手にした帽子以外はあの日の焼き増しのようだった。

だけど今や誰もいない。
―――――あの日地に伏していた仲間たちは、もう誰もいないのだ。


どう走ってここに着いたのかなんてわからなかった。
がむしゃらに走って走って、グラウンドへの扉をあける。
不安から見当違いの大声をあげた。
日向っ・・・と。
その言葉に、少年は振り向く。

―――――いつも彼に纏わりついていた時の
     幸せそうな雰囲気なんて微塵も見せないままに。




「久しぶりですね。音無さん。」

いつも彼にだけ向けた丁寧な言葉遣いはそのままに
直井文人は、音無結弦に微笑みかけた。

――――――消える前日、
何時ものように纏わりついていた楽しげだった子供が
別人のような酷薄な目を自分に向けてくるのに、思わず音無は後ずさる。
ぬかるんだグラウンドは何度も焦った音無の足を取った。

一歩下がると、直井は二歩彼に向って足を進めた。
いつのまにか、階段の下に追い詰められた。
―――――今さら気付いた事だが、琥珀色の筈の少年の瞳は血の色だった。
だから音無は、本能的に目をそらしたまま問いかける。

「直井、お前、今までどうして・・・
 ・・・いや、それより・・・日向がどこにいったか、しらないか・・・。」

その問いかけに直井は嗤った。
・・・理解してる癖にと、音無を嘲笑っていた。

「・・・あいつは、先に消しました。」

・・・その言葉に、音無の理性がかっとんだ。
激昂のまま、音無は直井の胸倉をつかんで叫ぶ。

「なんでだっ!お前はもう、俺達の仲間じゃなかったのかよっ!!
もうあんなふうに、無茶苦茶な消し方はしないんじゃなかったのかよっ!!」

つかんだ瞬間、しまったと後悔した。
少年は静かに、彼を見つめていた。
――――――魔がつ紅玉の瞳で。

赤い目が彼を捕らえる瞬間、少年は言った。

「自分が神である事を思い出しただけですよ・・・」 と。







瞬間、意識を奪われた音無の体が崩れ落ちた。
少年は、その体を優しく抱きとめる。
両腕に抱えた体は彼の手に余る位大きくて、
その重さに少年は大きくよろめいた。

地に倒さないようにぎゅっと抱きしめる。
そして少年は――――――文人は小さくつぶやいた。

「・・・音無さんは、神になんてなれないです。」

    だって神は、
       ――――――――――人間ではないのだから。

「・・・だから僕が、全部終わらせます。
 僕は神だから、人の痛みも苦しみも、悲しみもわからない・・・。」

とくんと、心臓の音がした。
懐かしい、音。
あの日、自分を包みこんでくれた音。

・・・・・・・・・自分を 「直井文人」だと信じさせてくれた 幸せの音。

この温もりは、ずっと求めていた人の温もりだった。
天上から見下ろす、神の叡智や慈悲なんかより、ずっとずっと暖かだった。



ぬかるんだアスファルトに直接横たえるのが嫌で
直井は自分の学ランを脱いで、その上に音無の体をゆっくりと横たえた。
―――――2.3度、頬を濡らす雨を拭った。
―――――でも雨は止まないから、それは3度目で終わった。
両手を胸の上で組ますと、もう直井が音無に出来る事はなくなっていた。
音無はそこで、ただ静かに最後の瞬間を待っていた。

頭が痛い。

―――――催眠術の術式を変えてから
一人消すだけで頭が割れるように痛くて仕方がなかった。
それをもう一月以上繰り返している。
本当は今すぐ、全てを放棄して泥のように眠りに落ちたかった。
それでも、
日向と音無は、同じ日に消すと決めていたのだ。
直井は歯を食いしばって音無に向き合う。
―――――これ以上、音無をこの世界にとどめる事は許されないのだから。

痛む頭を押さえながら
文人は最後の別れの為に、瞳をより一層赤く染め始めた。












・・・音無結弦の体から、蛍のような光が少しづつ舞い上がる。

それは散華の景色。
・・・静かに起こる、終わりの瞬間。






・・・足音が近づいてきた。

文人が顔をあげると、
そこには長い時間をともに過ごした銀の髪の少女がそこにいた。

生徒会の会長と副会長。
天使と呼ばれた少女と、神を自称する少年。

――――――けれど今だけは、神を自称したこの少年が世界の覇者だった。



「・・・・・・無駄だ。貴様は間にあわなかった。」

低く告げられた少年の言葉に、少女は悲しげに首を振った。
・・・そんな事は、彼女にもわかっていた。
催眠術による全ての誘導を最早少年は終えている。
・・・後は紅玉にその姿を映さなかったとしても
後数分もすれば、音無結弦の体は空への還っていくのだろう。
・・・少年が目の前の少年を見つめていたのは
最早ただの感傷に過ぎないのだから。

・・・そんな事は、わかっているのだ。

それでも・・・

「・・・・・・tree diagram」
「・・・?」

…少女は怒らなければならないのだ。
もはや彼を叱る事が出来ない、音無結弦の代わりに…

「・・・貴方が結弦の頭の中に描いて見せた、
 途方もない大きさの樹形図。
 
 ・・・人が生きる過程と、その結果に基づくシミュレート。
 分岐と可能性、気まぐれな意思により発生するイレギュラー。
 そのすべてに対応する人生をシミュレートする演算能力。
 
 ・・・それは人間の脳のキャパシティにあまりに余るもの。」

「・・・・・・・・・・・・・・・それがどうした。」

「・・・貴方は確かに結弦の、悲しみの人生をすべて書き変えたのかもしれない。
 でも、その代償に貴方の頭は割れるように痛むのでしょうね。」

天使の言葉に直井は、厳しい目で彼女を睨む。
それでも彼女は言葉を止める事はなかった。

優しくて、でも冷たい言葉。
彼女は断罪の剣を振り下ろす為に、ここに来たのだから。

「・・・でも、そんな事は、何の意味もなしはしない。」
「・・・黙れ・・・」
「・・・・・・・・・あなたは彼の歩んできた人生を根源から変えてしまった。
 悲劇の抹消。そして選んだ選択肢の先で、悲劇を生み出す可能性をも潰してしまった。
 ――――――――――そんな都合のいい現実なんて、どこにも存在はしない。
 ならそれは、例えどんなに丁寧な自己暗示だったとしても紛い物の記憶でしかない。」
「黙れ黙れ黙れ黙れ!!」
「・・・・・・私が黙ったとしても、貴方がした罪が、消える訳ではないのよ。」
「うるさいっ!」

・・・胸元からは一丁の銃。
神は天使に照準を合わせ、
天使は神の雷を吐く鉄柱をじっと見つめていた。

・・・発砲の気配。照準。
――――――引き金を絞る、一瞬の緊張。

そして・・・がたん・・・と銃が落ちた。

少年は泣いていた。
立華奏は、その姿を悲しげに見つめていた。

――――――お互いの間を区切っていた音無結弦は
      この瞬間、完全に消えたのだ。













ずっと、一緒にいたかった。


傍にいるだけで、幸せだった。
はじめて、自分の人生に感謝した。

――――――呪い続けた悲惨な運命さえも
この人と出会う為の神様のプレゼントだったんだって、心から思えた。

傍にいると嬉しかった。
いつだって傍らが温かかった。

かけてもらえる言葉は、別に特別なものじゃなかったけど
それでも貴方は、僕の人生にとって特別だった。
十年でも百年でも千年でも、いつまでも一緒にいたかった。
いつだって、笑っているのを見あげていたかった。
その笑顔の傍にいられれば

       ・・・・・・それだけで、幸せだったから・・・


   ・・・だから・・・



「嫌だったんだ。音無さんが苦しむのも、泣いてるのも・・・。」


・・・ただ、それだけの事だった。


「・・・ならどうして、結弦を最後まで残してしまったの・・・。」
「無理、だった・・・。
音無さんがいない世界で、頑張り続ける事なんて出来なかった・・・。」


・・・蓋をあければ、真実は本当に簡単な事。

・・・大山が最初に消えたのは、音無が消した藤巻の事を悲しんでいたから。
・・・ガルデモが次に消えたのは、音無との縁が薄かったから。
・・・そして今日まで、音無とこの世界に残っていたのは・・・。


「・・・だから最後は、日向君だったのね・・・。」


    ・・・彼が、過酷な現実の中で、音無を支え続けてくれる事を願って。










立華奏は、グラウンドを見回した。
最早、そこに人の影はなく、先程歩いた公舎にも、人の姿はなかった。

――――――――――直井文人を除くならば。


「・・・・・・貴方は、今はもう、この世界で最後の人間よ。」
「・・・・・・わかってる。僕は消えない。・・・消える事が、出来ないんだ。」

―――――――大好きな人を、裏切ったんだから。
―――――――きっとこの悔いは、どんなにここにいても消えない。

そう思うと、どうしようもなく悲しかった。

ふわりと、懐かしい温もりが文人を包んだ。
少年は大きな瞳を見開くと、
彼の肩には綺麗な少女の顔(かんばせ)があった。

「・・・お前、なんで・・・」
「・・・勘違いしないで・・・許した訳ではないのよ・・・。」

驚く少年に構わず、少女が言葉を紡ぐ。

「・・・・・・でも貴方は、こうすると落ち着くのでしょう・・・?」

瞬間、少年が顔をゆがめた。
―――――――緊張の糸が緩んだ事で、思い出したのだろう。
突然襲ってきた痛みに、文人は苦痛の声をあげる。

そんな少年をいたわるように、天使は彼の頭を抱いた。
・・・・・・・・・ほんの少し、温もりが痛みを、癒してくれるような気がした。

「・・・多分貴方の頭の痛みは、
 この世界から消えるまでずっと消えないわよ・・・。」
「・・・・・・別にいい。
 むしろ何の罰も残らなかったら罪悪感で狂ってしまう・・・。」

・・・直井の言葉を聞きながら、ふと保健室での音無の苦笑が奏の心に浮かんだ。
お前どんだけ不器用なんだと、少年は彼女を困ったような目で見て笑った。
・・・なぜか今、ほんの少しだけ、彼の気持がわかった気がした。

罰を欲する少年に少女は語りかける。
――――罰は望まずとも、そこにあるのだという事を。

「大丈夫よ。私が貴方を責め続けてあげる。
 その痛みは、貴方の選択の結果でしかない。
 ――――――だから貴方は、
 第三者にも否定されなければ罰を全うする事は出来ないの・・・」

その言葉に、文人は俯いた。
・・・それはそうだ。
彼女は音無が、どんな正当な手順で仲間に報いたかったかを知っている。
だからこそ
―――自分の手順が、どんなに穢れた手段だったかも知っているのだ。

ぬくもりが離れた。
それがほんの少し文人には悲しかった。
少女は少年の目の前で彼の眼を見つめる。

―――――次に届くのは、どんな断罪の言葉なのか・・・。

「だけど時には、貴方も私と一緒に結弦を思い出して欲しい。
 私も結弦が大好きだった。
 貴方と同じ位、結弦が大好きだった。
 だから私と、優しい思い出を、共有してほしい。」

だけど彼女の言葉は、
―――――――やっぱり最後は、とても優しかった。


「・・・沢山悔いて、沢山思い出して、沢山心で謝って
 ・・・そしていつか、本物を探して謝りに行きたくなったら
 ・・・私は貴方を見送れるわ。多分きっと、見送れる・・・。」


夕方のグラウンド。
――――――――――彼女の背に、天使の翼が見えた気がした。



いつの間にか雨は止んで、空には一番星が瞬いていた。
――――――――――彼女は祈る。
――――――――――彼らの次の生が、どうか幸せなものでありますように。


――――――――――そして、この子供も
――――――――――いつか彼らの後を、追う事ができますように・・・と。


(FIN)







・・・・・・うわ、暗・・・(泣)。

という訳で9話以降分岐のif話です(別名バッドエンド。)
なんとなく9話が終わった時点で仲間を消した後に
保健室で奏と抱き合ってなく音無のイメージが浮かんで
・・・そこからなんとなく派生した話です。
こんな話が思い浮かぶあたり当時の自分の鬱具合がよくわかります。しみじみ。
音無が消えた後の雰囲気は結構悩んだのですが
虚勢はる余裕はなさそうだなあと想像してあんな感じになりました。
もう少し頑なな感じでもよかったかなあとは思ってるのですが
頑なすぎてもショック受けてるように見えないしやっぱり難しいですね。

書きながら、自分悲観しすぎだから(苦笑)とある意味冷静になりました。
そういう意味では書いて良かったかもな。
しかし最初にかく天使ちゃんがこんなに暗い話になると思わなかったなあ。
一応管理人音かななので気がむいたら音かな話も書いてみたいです。

なにはともあれ、暗いお話を読んで下さって有難うございました。
残り4話と思うと本当に寂しいですし
次回は・・・運が悪いと・・・日向とユイが(泣)
・・・なのですっごく怖いのですが最後まで楽しんで見たいなあって思ってます。

ではでは。
読んで下さってありがとうございました★
・・・次は・・・ちょっとこれ書いた反動もあって
音無さんと直井君のほのぼの書きたいかもしれません・・・(苦笑)。
なんというか、幸せな話を書きたいというか・・・。
・・・アニメで少しでも音無さんがデレてくれると書きやすいんだけどなあ(^^;。



テーマ:Angel Beats! - ジャンル:アニメ・コミック

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