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どこにいったの?(どこにいるの?)【AIR 住人さん】

dream編からAIR編にかけての住人さんのモノローグ。
これも12のセリフのお題からの抜粋。

年賀状のサルベージついでに、UPしてみました。
観鈴ルートのネタバレを含みます(^^;

****** ▼ 追記記事 ▼ ******












見上げれば雲海。
それは果てし無く遠く、遠く広がっていて・・・
いつか、吸い込まれてしまいそうだった。
空から差し出される白く細く、たおやかな手に引き寄せられてしまいそうだった。
だから、幼いころのオレは、母さんの物語を聞きながら
ぎゅっと、母さんの着物をつかんでいた。

「この空の向こうには翼を持った少女がいるの。
それはずっとずっと昔から。
そしていまこの時も、同じ大気の中で、翼を広げて風を受け続けているの・・・」
「ねえ、母さん、その子は、今どこにいるの?」

そういうと母さんは決まって悲しげに首をふった。
ただ、いつかオレの前にその子は現れるのだと、
俺達の力はその為の力なのだと、悲しげに微笑んでいた。












今思えば、母は優しく美しくて、儚い人だった。
けれどその儚さは、ひょっとしたら悔いの裏返しだったのかもしれない。
今のオレの手のひらに細く脈打つ、微かなぬくもりが何となくそう思わせた。

そこにあるのはオレの幸せ、オレの全て。
そして一度は、逃げたオレの真実。
どんな理由があったとしても、オレが一度捨てた、オレをオレにしてくれる君。

母さんはその少女の下に帰ってこなかったから、俺の前にいてくれた。
けれど、母さんは、その少女と一緒に、
ひょっとしたら、自分のカケラをおいていってしまってたのかもしれない。
だから、誰かを笑わす幸せを、オレに教え続けていたのかもしれない。
己の悔いを、繰り返さないために。
だからオレは母に感謝すると同時に、母に悔いなければいけないのだろう。
最後まで法術の一族であったあの人が、
唯一「国崎往人」の母として残した「全て忘れて幸せになっていい」という願いを
オレは今振り捨てようとしているのだから。
見上げれば、あの日のオレが恐れた青空が、
窓から切り取られた姿をオレにさらしていた。
目がくらむような夏の輝きが、あの頃の惧れを思い出させて
オレは思わず眠り続ける観鈴の手を握り締めた。
「・・・ゆきと・・・さん・・・。」
その力に応えるように、観鈴の口がうわごとにオレを呼んだ。
ああ、大丈夫だ。観鈴。
もう少しだから。きっと、きっとオレが助けてみせるから。
目の前には金色に光るオレの相棒が、もうずっと前からオレを呼んでいた。
幾多の方術使いの仲間達が眠る、母の形見。
オレは、あそこにいく。
お前は強い子だから、オレがいなくてもいつかきっと笑えるようになる。
だから、オレは、お前が笑える未来を信じてそこへ逝こう。
ふと、羽ばたきが聞こえた。
青空に見捨てられた部屋の中で観鈴に寄り添う地上の生き物が
射干玉(ぬばたま)の翼を懸命にはためかせて
消えていこうとする俺を、静かに見つめていた。
「―――――そら」
それでもその黒光りする生き物の瞳は
窓から差し込む光を受けて不気味に輝いていた。
「ああ、そうか、そうだな。そら」
オレは微笑む。
青空から見捨てられたこの部屋でも、それでも微かに差し込む光はあった。
お前の瞳を照り返すひかり。
帰ってきた俺。
そこに残ってくれている、お前。
そして、今オレが、オレ達が輝かす、力―――――――――。

光が、溢れていく。
最後に、オレはそこに眠る少女の寝顔を見つめた。
青白い顔で、荒い息を繰り返していた彼女の頬が
少し、赤みを帯びてきたのを確認して俺は微笑む。

観鈴、オレはずっと、ずっと傍にいるから。
お前の中で、生き続けるから。
だから、諦めるな。
ずっとずっと、お前を励ましているから。










――――そして光は消えた。
そらは、その光が消えるまでずっと地上で羽ばたいていた。
まるで、何かに応えようとでもするかのように。
そうしてそらが翼を休めたとき
傍らの少女は静かに身を起こした。
だからそらは彼女を振り返って身を寄せる。
その行為は、彼の願いそのものである事もしらずに―――――。

1000回目の繰り返される夏は、終わりを迎えようとしていた。



(FIN)


テーマ:AIR - ジャンル:ゲーム

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